一人では、どうにもならなかったこの状況。


どうにか切り抜ける事が出来たけど、私と真弥ちゃんの心に不安を残していた。


ひっくり返してあった鏡が、元に戻っていた事。


いないと思ったナニかが、部屋の鏡で待ち構えていた事。


そして気になる事が一つ……。


「真弥ちゃん、起きてる?」


私が鏡のナニかと目を合わせてしまって、これ以上鏡を見ないように寝てしまおうと、布団の中に入っていた。


「うん……どうしたの?」


ゴソゴソという音が聞こえた後、真弥ちゃんの声。


寝かかっていたのか、声がトロンとしている。


こんな時に言ってもどうかと思うけど、ナニかに命を狙われている私は、ドキドキして眠れない。


「鏡の中のナニかはさ……どうして私達を殺そうとするんだろう。私を見てって言ってるけどさ」


「う……ん」


聞いているのか聞いていないのか……半分寝ているような返事。


なんだか独り言を言っているようで虚しいな。


「でね、さっき気付いたんだけど……もしかすると、ナニかから目をそらさずにいたら何か変わるのかな……」


さっき、私がナニかから目をそらした時、ガラス片を取り出したような気がするから。