赤い目が、白い顔が、私を見てニタリと笑う。


瞬間感じる強烈な悪寒。


嘘でしょ!


まさかこの部屋で待ち構えていたなんて!


慌ててナニかから目をそらした瞬間、鏡の中のナニかが振り返ってガラス片を構える。


完全に私に狙いを定めたそれは、次に私が鏡に映る時を待ち構えているようだ。


「な、なんで……もしかしてお母さんが?」


怯えた様子で、ブツブツと呟いているけど、今はそれどころじゃない。


「ま、真弥ちゃん、まだ見てないなら鏡をひっくり返してくれない?」


鏡に映らないように屈んで、真弥ちゃんに頼んだ。


固定されてる鏡じゃないなら、ひっくり返してしまえば安全だと思うから。


一人でいるわけじゃない。


二人でいるなら、どちらかが見てしまっても、もう片方が助ければ……。


そう……思っていたのに。


予想していなかった出来事に戸惑ったのか、フラフラと目が泳いでいたのだ。


「ま、真弥ちゃん!」


私のその言葉で、ハッと我に返った真弥ちゃんが私を見る。


「う、うん!」


そして、鏡を見ないように近付いた真弥ちゃんの手が伸びる。











パタン。












鏡がひっくり返り、なんとかこの場を切り抜ける事が出来た。