パシャパシャパシャ……。






廊下でも、浴室のシャワーのお湯が、真弥ちゃんの身体に当たって弾ける音が聞こえる。


私は床に腰を下ろし、頭にタオルを乗せて、真弥ちゃんが出てくるのを待っていた。


色々考える事はある。


ナニかの行動は、より一層激しさを増して、私に無理矢理にでも鏡を見せようとしている。


これをどう防いで、明日を迎えれば良いのか。


昨日とは明らかに違う強引さに、私は頭を悩ませた。


影宮さんや樹森君はどうしているんだろう。


ナニかに襲われてたりしないかな。


「怪談の出どころか……影宮さんはああ言ったけど、それがわかって、何が出来るんだろ」


幽霊が相手なら、除霊とかそんな感じ?


私には無理だけど、影宮さんならなんとか出来そうな雰囲気があるから不思議だ。


黒魔術とかそっちの方のイメージだけど。


冷たい廊下……玄関の方からナニかが歩いて来そうな気がする。


ジッと見ていると、冷気の塊が人型を成しそうで……。






「菜月ちゃん、いる?」


「うん、いるよ。大丈夫」





身構えているとやって来ない。


廊下で待っている間、真弥ちゃんとその言葉を交わしただけで、特に何も起こらなかった。