ホッとしたような笑顔を見せて、ドアを閉めた真弥ちゃん。


ナニかがいたのかと思ってびっくりしたけど、鏡の中でもないのに、そこにいるはずがないよね。


お風呂場は怖いけど、うちとは違って、鏡が正面にないからまだ大丈夫だ。


それに、外には真弥ちゃんが待ってくれているから。


汗も流したし、もう上がろうと蛇口に手を伸ばした時……。














目の前にある鏡に……ナニかが映ると思ったけど、それもなくて。


怖い怖いと思っていたら、何でもないものも怖く感じるやつかな。


特に鏡なんて……ナニかがいなくても不気味な感じがするのに。


ジッと見ていたら、私と違う動きをしそうで。


蛇口を捻り、シャワーのお湯が止まったのを確認して、浴室から出ようとドアノブに手を伸ばすと……。










カチャ……。











半開きだったのか、弱々しくドアが開いた。


一瞬身構えたけど、さっきの真弥ちゃんの例もある。


しっかりドアを閉めて行った記憶もないし……と、ドアノブに手を掛けた時。














「どうして……」













背後から聞こえたその声で、守ってくれるものが何もない私の全身を、奇妙な物が撫で回す感覚に包まれた。