死んでほしいと思うような人なんて私にはいない。


伊達君のような、自分勝手な理由で人を犠牲にしようとも思わない。


出来れば、これ以上誰も死ぬ事なく、この騒動が終われば良いのに。


シャンプーを済ませ、ボディソープを手に取り、塗りつけるように身体を洗う。


これを洗い流したら上がろう。


腕から胴、足と洗って、シャワーを浴びたその時。














カチャ……。












浴室のドアがゆっくりと開き、その隙間から、こちらを伺うような目が見えたのだ。







「ひ、ひっ!」







身体がビクンと震え、思わず後ずさりをする。


だけど……。










「菜月ちゃん、大丈夫?」











この声は……真弥ちゃん?


私を心配して、見に来てくれたのかな。


「も、もう!驚かさないでよ!びっくりして心臓止まるかと思っちゃったよ!」


慌てて真弥ちゃんに背中を向けて、前を隠す。


「ごめんごめん。実は、私がお風呂に入ってる間、外で待っててくれないかなー……と思ってさ。やっぱり何かあったら怖いし」


そう言う事か。


確かに一人でいるより、ドア越しでも誰かいてくれた方が安心出来るからね。