腰が抜けて動けない……怖くて声すら出せない。


そんな中、影宮さんが私の肩を掴んで前後に激しく揺さぶり始めたのだ。


「き、き、き、桐、桐山さん!」


ハッと我に返った私は、影宮さんの方を見ると……震える手で鏡を指差している?


咲良の血で赤く染まった鏡なんて見たくないと思いながらも、そちらに目を向けると……。














真っ赤な鏡の中から、目を見開いて鏡に張り付き、咲良の遺体を見ている女性の姿があったのだ。


「いやっ、いや、いやあああっ!!」


背筋が凍り付くほどの悪寒に、私は悲鳴を上げて廊下まで後退りした。


な、何なの今の!


鏡の中に人がいたような気がした!


いや、違う!


影宮さんも見たんだから、気がしたわけじゃない!


「ん?なんだ?……って、お前、それ血か!?」


「きゃーっ!!」


咲良の血を浴びて、顔や制服が赤くなっている私を見て、廊下にいた生徒達が騒ぎ始めた。


「き、桐山さん……ど、どうしよう!」


どうしようって言ったって……咲良が首を切り落とされた。


鏡の中に誰かがいる。


そして私達は血塗れで。


どこまでを信じてくれるかなんて、パニックになってる私でもわかった。