バタバタと階段を駆け上がり、部屋に飛び込んだ私を、驚いた様子で見つめる真弥ちゃんの。


「な、菜月ちゃん、そんなに慌ててどうしたの?あ、もしかして……見ちゃったとか?」


声のトーンを落とし、顔をしかめて私を指差す。


でも、私はそうじゃないと、ブンブンと激しく首を横に振った。


「み、見てないよ!真弥ちゃん、あの音聞こえなかったの!?あんな大きなだったのに!」


まるで私がおかしい事を言っているような、微妙な空気が流れる。


「お、音って何?あんまり変な事言わないでよ。自分の家から変な音が聞こえるとか気持ち悪いから!」


あの鏡を叩く音が私にしか聞こえていないなんて……。


「ご、ごめん。聞こえなかったら良いんだ」


あれが私にしか聞こえないなら、私が気を付ければ良いだけなんだけど。


「それよりさ、美奈ちゃん大丈夫かな?一人で何を調べてるんだろ?」


「さ、さあ。怪談の出どころを調べるって言ってたけど……まだ連絡がないね」


スマホを見ても、新しいメッセージは入っていない。


見たついでに、今、私が体験した事を書いて送った。


もうすでに、これを体験しているかもしれないと思いはしたけど。