その後、テレビを見ながら真弥ちゃんと夕方まで話をしていた。


部屋の中の鏡は裏になってるから、それに気を取られる事なく。


「……でさ、一年の終わりに須藤君に告ったんだけど、あの皆川がさ。あー、思い出しただけでムカつく!」


話は、鏡の中のナニかから、恋愛の話に移っていた。


こんな時に恋愛の話なんて……と思ったけど、気を紛らわせるには丁度良くて、真弥ちゃんの話をずっと聞いている。


「須藤君と皆川さん、付き合ってるみたいだしね。あれ?それも一年の終わり頃じゃなかったっけ?」


「それだって!あのクソ女、私のある事ない事須藤君に吹き込んでさ、私が断られたのは絶対あいつのせいだし」


……そんな事があったのか。


多分、真弥ちゃんの推測なんだろうけど、もしも本当なら怒っても仕方ないかな。


なんて、話を合わせていたけど……少し前からトイレに行きたくてたまらない。


この家のトイレは、階段を下りて廊下の奥に行けばあるけど……その前に、玄関の大きな鏡。


ここを通り過ぎなければならない。


私の家みたいに、正面にあるわけじゃないけど……ドアで遮ってくれるわけじゃないから。