「?真弥ちゃんどうしたの?部屋に入らないの?」


ナニかがいると言ったと同時に、何かを思い出したかのようにドアノブから手を放したけど……何なんだろう。


「あ、朝にさ、あれは夢かなと思って鏡を見たんだけど……何も起こらなかったから、そのままにして出てきちゃった」


「朝に鏡を見たの!?真弥ちゃん、思ったより勇気あるんだね……」


「だって、夢かなと思ったんだもん!」


現実とは思えなかったから、普通に学校に来て、トイレの野次馬に混ざって……そして、私達の話を聞いて恐怖したんだ。


でも、真弥ちゃんが朝に鏡を見て、そこにナニかが映っていなかったと言うなら、一つの可能性が浮かんでくる。


「朝になったら……殺されなくなるのかな?」


飽くまで仮説だけど、今も鏡に映っていたのに殺されなかった。


何か条件があってそうなっているのなら、気を付けていれば死にはしないと思える。


「私に聞かれても……ど、どうする?部屋に入る?」


「鏡があっても、見なきゃ大丈夫だよ。廊下にずっといるわけにもいかないしね」


「う、うん……そうだね」


どこに鏡があるのかわからないから、私よりも真弥ちゃんが先に入る方が良い。


そして真弥ちゃんはドアノブに手を置いた。