私達は、先生に教室の中に入れられて、咲良が殺された時に鏡の中にナニかがいたという事。


昨夜、殺されそうになった事や、教室で何人もナニかを見たと伝えた。


「……そうか。だったら早く帰って鏡を見ないようにしなさい。死にたくなければ、事態が収まるまで部屋から出ない事だ」


それだけ言って、過去に何があったのかは教えてくれない。


明らかにそれを避けて、話を終わらせようとしているのが見え見えだ。


「先生、階段の鏡を取り外したのも、今回の事と関係してるんですか?」


真弥ちゃんの質問に、少し考えた後で先生が小さく頷いて口を開いた。


「ああ、そうだ。そうしないと誰も階段を通れなくなるからな。それに……いや、これは関係ないな。とにかく早く帰りなさい。いいね」


原田先生はそう言うと、私達から逃げるように教室から出て行った。


教室に残された私達が知る事が出来たのは、鏡が先生達によって、過去に取り外されていたという事だけ。


「お、思ったよりもいっぱい聞けたね。詳しくは教えてもらえなかったけど、知りたい事は知れたよね?」


……と思ったのに。


また樹森君と影宮さんは、何かを掴んだかのように顔を見合わせていた。