「掛ける言葉が見付からないわ。桐山さんのクラスの人はどうなっているのかしら?」


どうなっていると言われても……。


皆の行動なんてわからないし、私も伊達君がこんな事をするとは思ってもみなかったから。


「んな事言ってる場合かよ!どうすりゃ良いんだよこれ」


京介が言うように、私達はどうすれば良いのかわからなかった。


内臓を引っ張り出された前田君の遺体、血塗れの床、返り血を浴びて内臓と戯れる伊達君。


出来れば中には入りたくないし、伊達君に近寄りたくない。


そう思えるほど、常軌を逸した光景なのだ。


真弥ちゃんは隣の教室の前まで逃げてるし、樹森君はまだ苦しそう。


私だって決して大丈夫なわけじゃない。


だけど、昨日、咲良が殺される所を目の当たりにしたから、初めて遺体を見るよりは心の準備が出来ているだけ。


膝は震えているし、気を抜けばその場に座り込んでしまいそう。


教室のドアを掴んで、立っているのが精一杯だった。


「さて、次は女性の中も見せてほしいな。桐山か、影宮か、どっちでも良いんだけど」


前田君の小腸が伊達君の手から離れ、ベタッと音を立てて床に落ちる。


伏せられた鏡を取り、血塗れの顔でニタリと笑ってこちらに向かって来た。