「何って……怪談が本当かどうか確かめていただけさ。俺がやったわけじゃない。犯人は鏡の中の幽霊。これがどういう事かわかるかい?僕は、人を殺す権限を手に入れたんだよ」


伊達君……人が一人殺されたのに、何を言ってるの?


前田君の遺体を前にして、笑っていられる精神も信じられない。


鏡を机の上に伏せ、机から下りた伊達君が、私達ではなく前田君の遺体に近寄る。


腹を裂かれ、内臓が引きずり出されている、とても耐えられない状態なのに。


信じられない事に、その切り裂かれた腹に手を入れ、ぐちゅぐちゅと掻き回したのだ。


「勉強で人体の構造を知っていても、こうして直に触れる経験なんて滅多に出来るもんじゃない。こんな温もりがあるのか……」


その姿は、あまりにも常軌を逸していて、隣にいた樹森君が、吐き気に負けて廊下の隅に嘔吐してしまったのだ。


「汚いわね……もっと離れた場所で出来なかったのかしら?」


そんな状況でも、顔色一つ変えずに教室の中を覗く影宮さん。


こうなる事を予測していたのだろうか。


「ほら、小腸だってこんなに長くて柔らかい。素晴らしい経験だよ」


前田君の小腸を両手に持ち、嬉しそうに笑うその姿は……狂っているとしか言えなかった。