え……?


な、何?


私の後ろには誰もいなかった……はずなのに、どうしてそこに人が映ってるの?


ビクンッと身体を震わせて、振り返ろうとするけど……嫌な予感がして振り返れない。


一体これが誰なのか、よく見てみたい。


だけど……もしもこれが怪談話のナニかだったら……気付いた事に気付かれてはならない。











そうは思うものの、視界に映る女子生徒が気になって、ダメだと分かっていても目がそちらを向いてしまう。


大丈夫……あの怪談話が本当だとしたら、気付いた事に気付かれなければ問題ないはず。


ゆっくりと、気付かれないようにそちらに目を向けると……。

















鏡の中の女子生徒は、ニタリと笑みを浮かべて私を凝視していたのだ。


「ひ、ひやっ!!」


まずい!気付かれた!


もしかして、片桐さんはこれに気付かれたの!?


そんな考えが頭をよぎり、慌てて振り返ると……。












「……ごめんなさい。手を洗いたいんだけど」















良く見ると、それはA組の影宮さん。


大人しくて、普段姿を見ないから、正面から顔を見た事がなくて誰だか分からなかっただけだった。