騒がしかった教室は、先生の一喝で静まり返り、ホームルームは終わった。


生徒の質問には答えずに、力ずくで話を終わらせた事で、皆は不満を募らせたみたいで。


「何も言わなかったって事は、やっぱり本当なんじゃねえの?」


「怪しいよね、何かを隠してる感じがするよ」


真実を言わないで黙らせた事で、生徒達の想像はますますエスカレートして行く。


「誰か鏡を見てみろよ、幽霊が映るんじゃね?」


「本当に映ったらどうすんだっての。咲良みたいに首切られて死んじゃうよ」


咲良の死を悲しんでる人がいる中で、あまりにも考えのない言葉。


面白半分で鏡を見て、ナニかに気付かれれば、笑い話では済まなくなってしまうのに。


「それにしてもよ、何だって急にこんな事になってんだよ。この前まで噂はあっても、実際には起こらなかっただろ」


……そうだよね。


うちの高校の怪談と言えばこれと言うくらい皆知ってるし、どの時期でも変わらず鏡は見ているのに、今までそんな事はなかった。


このクラスで、そのナニかの恐怖を知っているのは私と真弥ちゃん。


そして、恐らく樹森拓志(キモリタクシ)君。


休み時間に話を聞いてみよう。