教室に戻り、席に着くと、なんとも言えない表情を浮かべた京介が私をジッと見ていた。


「何よ、変な顔で見てさ」


「お、お前なあ……俺がどれだけ心配したと思ってるんだよ。連絡もよこさねえしよ」


「京介がゲーセン行ってる間に起こったんだから、関係ないでしょ」


そう言いながら、私は教室の中を見回す。


大きな鏡はない。


だけど、誰かが持ち込んだ鏡が教室の後ろに置かれていたり、机の上に教科書と一緒に置く人もいるから油断は出来ない。


私の席も、真弥ちゃんの席も、鏡には映らないから大丈夫そうだけど。


「関係ない事はないだろ!何があったんだよ、言ってみろよ」


京介は、私への興味が薄いように見せかけて、何でも知ってないと嫌だっていう所があるんだよね。


それならずっと一緒にいれば良いのにさ。


「私は殺されそうになってんの。京介が助けてくれるの?」


「何!?殺されるだと!どこのどいつが菜月を殺そうとしてやがんだよ……雪村を殺したやつか!?」


「そ、鏡の中にいる、真っ白い顔をしたナニかに殺されそうなの」


私がそう言うと、京介は困惑したような表情で視線を泳がせた。