「真弥ちゃん、もしかして昨日、鏡の中のナニかを……」


見たのは私と影宮さんだけだと思っていた。


だけど、この学校の怪談なら、他の生徒も見ている可能性はある。


「やっぱり……あれって怪談話のやつだったんだ。昨日の放課後、咲良が死んだ後に別のトイレに行ったら、なんか変な人が鏡に映ってさ……」


その後、私や影宮さんと同じように、家に帰ってから殺されそうになったんだろうな。


この怯え方は尋常じゃない。


いつも明るい真弥ちゃんが、見る影もないくらい暗く沈んでいるのだから。


「山本さんも夢を見たとなると、やっぱり何かメッセージがあるようね」


私の顔を見て、そう呟いた影宮さんに、何かに気付いたかのように、真弥ちゃんが歩み寄った。


「ダメダメ、私の事は真弥ちゃんって呼んでよね」


さっきまでの暗さはどこに行ったのか……名前の事になると、必死に訂正させようとする姿はいつもと変わらない。


元々感情の浮き沈みが激しい子だから、今更驚きはしないけどね。


「ま、真弥ちゃん……。桐山さん、私はこの子、好きじゃないかもしれないわ」


「ま、まあまあ……」


案外、影宮さんは思った事をズバッと言うんだな。