「数字が……夢で見た物に似てる……」
ざわめく廊下で、影宮さんが行ったその言葉を私は聞き逃さなかった。
すぐさま影宮さんの腕を掴んで階段の前まで移動して、その肩を掴んで尋ねた。
「あの夢……見たの!?私の夢にも赤い字で書かれた数字が出て来た!あの数字は……何なの!?」
自分で思っているよりも大きな声だったようで、影宮さんは怯えたように、顔をしかめて横を向く。
脅かすつもりはなかったけど……私も影宮さんも同じような夢を見たというのが気になったから。
「わ、私に聞かれたってわからないわ。落ち着いて、夢の内容を整理しましょう」
顔を横に向けた状態で、チラチラと目だけで私を見る。
「あ、ご、ごめん……」
慌てて肩から手を離し、怯える影宮さんから少し離れた。
昨日、咲良が殺されてから話すようになった関係。
ナニかに狙われているという連帯感で初めて繋がったから、お互いの事を良く知らない。
私も影宮さんも命を狙われてる状態だけど、それしか、二人を繋げる共通点はないのだ。
「あの数字を夢で見たって言っていたわよね。私もそうよ……」