そんな私達が、教室のある棟に入り、踊り場に鏡がない階段を通って二階に上がると、廊下に生徒達が出ている事に気付いた。


「あれ?何だろ……皆トイレの方に向かってる」


咲良が殺された現場を見ようというのかな?


だけど、興味本位で行くのはあまり良くないよね。


もしかすると……そこにナニかがいるかもしれないのだから。






「あれってマジ?本当に取れないの?」


「鏡の内側に付いてるらしいよ?あの血」






トイレの方から教室に戻ろうとしているクラスメイトの声に、私と影宮さんは顔を見合わせた。


「……鏡の内側に血が付いてる?どういう事かしら?」


「わ、わからないけど……ちょっと見て来ようか?」


昨日、咲良が殺された時に飛び散った血が、そのまま残っているのかな?


話を聞くだけでは良く分からない。


私と影宮さんは、生徒達で騒がしいトイレへと向かった。


それは、私達がナニかに付け狙われる事になった鏡で、決して無関係ではいられないと思ったから。


そして……トイレの前にやって来た私は、生徒達の隙間から見えた鏡に、言いようのない不安を覚えた。


そこに……血で、「9」と書かれていたのだから。