昨日まで、話した事もない影宮さんとの登校。


共にナニかを見てしまい、妙な連帯感が芽生え始めている。


外はどこに鏡があるかわからない。


駐車してある車や、通り過ぎる車のサイドミラーもそうだし、民家の中にある鏡が外を向いていてもアウトだ。


細心の注意を払い、いつもより20分も遅れて、何とか学校に辿り着いた私達。


生徒玄関で靴を履き替え、鏡に注意して、教室の方に向かった。


設置されている鏡だけじゃない。


他の生徒が持っている鏡に映ってもアウトだ。


その小さな鏡の中に、少しでも映ろうものなら……あのガラス片で切り裂かれる可能性がある。


まだ始業までは時間があるから、登校して来る生徒は多い。


「全く……あれに気付かれさえしなかったら、こんなに苦労して学校なんかに来なかったのに」


ブツブツと呟く影宮さんに、ハハッと笑って見せた。


確かに、どこに鏡があるかわからない外を歩いて登校するより、家にいた方が安全に思える。


だけど、家にいてもナニかはやってくるわけで……一人でいる事の心細さを知ったから。


影宮さんも皆と一緒にいたいんだなと思った。