な、何なの!?


なんでお母さんがこんな姿に!?


目に突き刺さったガラス片のせいで、血が流れ落ちている。


「菜月ぃぃ……真っ暗なの。何も見えないの……」


両手を前に出し、おぼつかない足取りで、こちらに迫って来る。


ま、まさか、ナニかが私だけじゃなくお母さんにまで……。


全身に、ジワッと冷たい汗が吹き出て来るのがわかる。


「い、嫌だあああ、お母さん……」


悲しくて、怖くて、涙が溢れそうになる。


そんな中で……。










ズズッ……。


ズズッ……。








どうしてこんな事になったのだろうと、絶望に包まれていた私の耳に、何かを引きずるような音が聞こえた。


お母さんに向けていたスマホを、その音がする方に向けると……。









「きゃ、きゃあああああっ!!」












ドアが開いたリビングから……誰かが這って廊下に出て来たのだ。


それは、床をバンバンと叩きながら、何かを探すかのようにうごめく首のない人。


膝が震える……腰が抜けそうになるけど、一刻も早くここから逃げたいと、階段の方に向かって駆け出そうとしたけど……。












「菜月ぃぃぃ……つかまえたぁぁぁ」








腕をお母さんに掴まれて、その場から動く事が出来なかった。