私の声に、驚いたような表情を浮かべて、辺りを見回して首を傾げる。


「な、何よ、変わった子ね……ドアくらい自分で閉めれば良いのに」


そうは言いつつも、脱衣所のドアを閉めてくれるお母さん。


これで満足?と言うような呆れた目を私に向けて、またキッチンの方に歩いて行った。


……いつ、ドアは開いたのか。


わからないから、今のうちに通り過ぎるしかない!


急いで通り過ぎた廊下。


トイレのドアをチラリと見て、一瞬行っておこうか悩んだけど、それでも今は部屋に戻る事を最優先に、私は階段を踏み締めた。


ここから先は鏡はない。


私の部屋の鏡も伏せてあるから、今日は何とかなりそう。


階段を駆け上がり、一番奥の私の部屋に飛び込んだ私。


テーブルの上に、鏡が伏せてある事を確認して、スマホを手に取った。


相変わらず影宮さんからの連絡はない。


その代わりと言ってはなんだけど、京介からのメッセージがある。








『本当に大丈夫なのか?』









全然大丈夫じゃないけど、今、京介に言っても何も解決出来ない。


すぐにでも電話して声を聞きたいけど、死の不安が大きくて、まともに話が出来そうになかった。