階段を下りて、脱衣所のドアが閉まっている事を確認してリビングへ。


用意された晩御飯をほとんど食べられずに、それでもほんの少しお腹に入れて席を立った。


「ラップしておくから、お腹がすいたら食べなさい」


「うん……」


お母さんにそう呟いて、私はリビングを見回した。


ずっと俯いて食べていたから、鏡がこの部屋のどこにあるか、気にもしていなかったけど……。


隣の和室の奥に、お母さんの鏡台が見えるだけで、他に鏡はない。


その鏡台も、布が被せられているから大丈夫。


少し安心して、リビングのドアを開けて廊下に出た。















「え?」













リビングを出て右にある、脱衣所のドア。


その奥にある、洗面台の大きな鏡。


二階から下りてリビングに入った時は、ドアが閉まっていたのに……。


誰も開ける人なんていないはずなのに……。













ありえない状況に、思わず首を脱衣所の方に向けてしまった私は……その奥の鏡を見てしまった。









電気が点いた、明るい廊下に立ち尽くす私。


そして……。














白い顔、黒い髪で、赤い目を向ける無気味な笑い顔と、目が合ってしまったのだ。