プチプチと音を立てて、私の身体から引き剥がされる、鏡から伸びる何か。


これは……冷たくて怖い。


死の恐怖がそのまま伝わってくるかのような、存在してはならない物。


そう思えたから、自分では引き剥がせないこれを、京介に引き剥がしてもらえて良かった。










「た、助けてくれっ!!頼む!何でもする!そ、そうだ!俺の授業の成績を最高評価にしてやるから!」








逃れた……と、安心した私の手を、今度は原田先生が掴む。


しかも、なんて都合の良い事を言ってるんだろう。


「じゃあ……皆を生き返らせてよ!咲良を!影宮さんを!皆生き返らせてよ!」


あまりに自分勝手な原田先生に、そう言って、私は睨み付けた。


「で……出来るわけがないだろ!良いから早く!早く俺を!」


鏡の枠と私の腕に必死にしがみ付いて叫んだ。













「私を……見て」










その直後聞こえた声。


鏡の中からのその声に、私は思わず原田先生の後ろにある鏡に視線を向けた。















「原田君……私を見てよ!」











白い顔に黒い髪。


赤い目をしたナニか……智奈美が、鏡の中から手を伸ばして、原田先生の身体にしがみついたのだ。