「な、なんだありゃあ……」
そう言われても、私にもわからない。
夢で見たあの鏡が、ここにあるという事しか。
それは私達が探していた物で、これをどうすれば良いのかがさっぱり。
「あれを壊せば良いのかな……」
そう言いはしたものの、壊す事なんて出来るのだろうか。
良く見れば、向こう側が透けて見えている。
本当にそこに存在しているかさえわからないのだから。
「何をぶつぶつ言ってる。さあ、お前達もここで死ぬんだよ。俺じゃなく、あいつに殺されるんだ。来てるのがわかるだろ?」
物凄く穏やかな表情で、私達に笑顔を向ける原田先生。
「おい、ヤバいぞこりゃ。一旦逃げるぞ!」
「ダメ!ここで逃げたら……これ以上あれに近付けなくなる!」
私の腕を引っ張って逃げようとする京介の手を振り払い、原田先生はまだ気付いていない鏡に目を向けた。
「……桐山、なぜ紫藤が言うように逃げないんだ?逃げて他の先生に助けを求めないのか?まあ、何を言ったところで、誰もお前達の話なんて信じないだろうがな」
そう言って、原田先生が私達にナイフを向けた時……あの声が聞こえた。
「……私を見て」