……なんで。
どうして影宮さんが殺されなきゃならないの?
先生に鏡を向けて、ナニかを見せようとしてはいたけど……。
先生は、何かあったら人を殺すつもりで、ナイフを持ち歩いていたの?
「原田先生……どうして影宮さんを!それでも……」
怒りを爆発させて、睨み付けようと、視線を先生に向けようとした時だった。
先生の背後、欠けた鏡の枠……。
そこに、鏡面とは違う、マーブル模様の歪みが見えたのだ。
何……あれ。
夢の中で見たのと同じ物がそこにある。
そして……その奇妙な歪みの右側が欠けていた。
「おい!菜月っ!!」
背後から掛けられた声に、私はハッと我に返った。
その瞬間、私の目に映ったのは、先生がナイフを振り下ろそうとしている光景。
あ……ダメだ。
殺される。
避ける事が出来ないと、諦めかけたその時。
グッと襟を後ろに引かれて、私の目の前をナイフが通り過ぎたのだ。
「何をボサッとしてんだよ!刃物を持ってるやつの前で……」
私を引き寄せて、そう言った京介もアレに気付いたようだ。