部屋に入って電気を点けて、窓ガラスに映っている自分の姿に驚いてしまう。


影宮さんからのメッセージでは、ガラスや水なんかは大丈夫とあったから、そこにナニかは潜んでいないと分かるんだけど。


それでも、自分が映っている物だとナニかも存在するんじゃないかと怖くなる。


「影宮さん……咲良、私も殺されちゃうのかな」


有名な都市伝説なんかだと、何かしら対処法があるもんだけど、これはうちの高校の怪談。


まさか、そんな事が実際に起こるとは思わなかったけど、片桐さんと咲良は、その怪談に巻き込まれて死んでしまった。


もう……噂話では済まされない状況に陥っているんだ。


椅子に掛かっている部屋着を着て、スマホを手に取った。


相変わらず……影宮さんからのメッセージはない。


こちらからのメッセージに既読が付かない。


無事なのか、それとももう影宮さんも死んでしまったのか、それすらも分からない。


「明日……学校で会えるよね」


安否を確認するメッセージですら、怖くて送れない。


それを確認するにも、私も今日、この夜を生き延びなければならないのだ。


強い気持ちなんてない。


ただ……死にたくなかった。