「え?」
影宮さんの、鏡を持った腕を掴み、身体を引き寄せて。
左の脇腹に、銀色の刃が突き刺さったのだ。
「お、おい……嘘だろ!?何してんだ原田ぁぁぁぁっ!!」
「か、影宮さん!」
ズルリと脇腹からナイフの刃が抜け、影宮さんが膝から崩れ落ちる。
「こんな事をしても、全てあいつのせいになる。そして、動けなくなった人間は……」
脇腹を押さえて、床の上で悶える影宮さんに、先生のさらなる一手が迫る。
影宮さんが落とした鏡を拾い、それを苦しむ影宮さんに見せたのだ。
「ほら、あいつが迎えに来てるぞ」
鏡を顔の前に置いて、まぶたを指で開かせた原田先生。
「あ、ああっ!!」
ビクッと身体を震わせて、その鏡の中に、ナニかの姿を見てしまったのだと判断した。
まずい!こんなに鏡に囲まれた中で動けなかったら……。
「影宮さん!逃げて!」
慌てて駆け寄ったけど……私の目の前で、影宮さんの身体から真っ赤な血が吹き出したのだ。
助けたいと、死なせたくないと願ったのに……。
頭部にも何かが突き刺さったような跡が出来て、影宮さんはその動きを止めた。