鏡が元の位置に戻った。


狭い美術準備室に、正面に一枚と左右に五枚ずつ。


正面にあるのは、鏡面がない枠だけというのはわかっているけど、それも白い布が掛けられて。


「よし、じゃあ始めようか」


綺麗に並んだ鏡に掛かる、白い布を掴んで、原田先生が一気にそれを引いた。


不意を突かれたのは京介。


慌てて腕で視界を隠し、顔を背ける。


「せ、先生!何やってんだよ!調べるだけなら、それを取る必要はねえだろ!」


そんな言葉には耳も貸さずに、先生は次々と布を取って行く。


「何か変よ、桐山さん!」


「そんなの見ればわかるよ!」


見ればわかる……だけど、原田先生が何をしようとしているかがわからない。


そして……わからないまま、全ての布が取り払われた。


十枚の鏡。


それに書かれた赤い数字。


昨日見た夢を思い出して、私は気付いてしまった。


「3」の次の鏡には、女子生徒が、その次は男子生徒。


それは、真弥ちゃんと須藤君が死ぬという事を予知していたんじゃないかと。


最後の鏡は、男子か女子かすらわからなかった。


でも、後一人は確実に死んでしまうという事なの?