不信感が完全に拭えないまま、私は二人と共に室内へと足を踏み入れた。


どうして昨日ここを調べなかったのか……。


生徒が消える美術準備室という怪談の手掛かりを掴む為に調べた後に、欠けた鏡の話が出たから、調べたつもりになっていたんだろうな。


後で気付くというのは良くある事だ。


「先生の本心を言うと、ここは鏡が多い。生徒に調べさせたくはなかったから、一人で調べようとしたんだが……まさか来てしまうとはね」


一枚一枚、鏡を並べるように立て掛けて、先生が話し始める。


「俺達も欠けた鏡を探してるんだから仕方ねえだろ。それに、これだけの鏡なんだからよ、手分けした方が早く終わるだろ」


自分が重ねた鏡を、元の位置に戻すのを手伝う京介。


その光景は普通……と言いたい所だけど、やはり違和感がある。


それは影宮さんも感じているようで、キョロキョロと辺りを見回していた。


「桐山さん、不思議じゃない?鏡を調べるだけなら、わざわざ棚に立て掛ける必要なんてないと思わない?」


私が感じていた違和感は、まさにそれだった。


白い布が被せられた鏡。


それを丁寧に一枚ずつ並べている意味がわからないから。