「!?誰かいるのか!」


美術準備室の中にいた原田先生が、京介の大きな声に気付いて振り返った。


……まあ、そうなるよね。


この中で何をしていたのか。


見ようによっては、ただ鏡を元に戻しているだけのように見えるけど。


「いや、紫藤だけど。先生はこんな所で何してんの?」


京介の質問に、視線を泳がせてわかりやすく動揺し始める原田先生。


「ああ……いやな、鏡を元の位置な戻そうとしていただけなんだが……」


その答えは間違ってはいないだろう。


だけど、なぜ今、それをしなければならないのか。


「……生徒が二人死んだのに、原田先生は慌てもせずに鏡の整理ですか?」


何か……嫌な感じがする。


だけど、黙っていても何もわからないままだ。


私が言ったその言葉に、原田先生はどういう反応を示すのか。











「……ここに来たという事は、欠けた鏡を探しに来たんだな。入って来なさい。先生もそれを探しに来たんだ」










思ったよりも穏やかな声で、私達にそう返事をした。


何か、秘密があるんじゃないかなと思っただけに、意外だったその言葉。


影宮さんと顔を見合わせて、私は小さく頷いた。