ゴトッ……。
何かの音が中から聞こえた。
床を伝わる振動。
そんなに激しくはないけど、確かに感じる。
ちょっとした重量の物を床に置いたような。
「……待ってろ、俺が様子を見てみるからよ」
京介が、「待ってろ」というようなしぐさで私達を止める。
ゆっくりとドアに近付き、昨日ガラスを割った所からそっと中を覗き込んだ。
「桐山さん、私達も見ましょ。紫藤君の反応だけじゃわからないわ」
京介がわざわざ私達を止めて、一人で見に行ったのに……。
まあ、皆で見た方が説明の時間も省けるから、その方が良いんだけどね。
足音を立てずに京介の背後に近寄り、私達もそっと中を覗き込んだ。
「……誰だ、一箇所に固めて置いたのは。手間かけさせやがって」
原田先生はブツブツと呟きながら、昨日、京介が片付けた鏡を元に戻していたのだ。
「何してんだ?あの鏡に何か意味でもあるのかよ……」
「どうかしらね。何かこだわりがあるのかしらね」
と、影宮さんが京介の顔の近くで囁いた瞬間。
「うわっ!びっくりさせんなよ!」
それに京介は驚いて声を上げたのだ。