私達がいる事に気付いたのか、廊下を確認してみると、もう原田先生の姿はない。


「まあ、原田先生の行動は不可解だけど、私達がやる事に変わりはないわ。美術準備室に行って、鏡を調べましょう」


何か怪しいけど、実際に人を殺しているのはナニかで……原田先生じゃないから。


「うん、そうだね」


偶然が重なって、ここにいたんだと思いたい。


「よし、行くか」


京介に背中を叩かれて、私達は廊下に出た。


一番奥の美術準備室。


そこに鏡がある……なんていうのは私の思い込みで、もしかするとないのかもしない。


それがわからないから、私達は向かっているんだ。


いつもと何も変わらないはずの廊下。


それなのに、なぜか足取りは重い。


ナニかがすぐ近くにいるような、そんな悪寒を……不気味さを感じる。


目の錯覚か、美術準備室から禍々しい気配が漂っているのが見えるよう。


悪いようにしか捉えられない。


言葉を一言も発さずに近付いた美術準備室。


そのドアが完全に閉まり切っていなくて、少しだけ開いている。


これは、十中八九原田先生が中にいるという事を示していた。