「何か……変だよ」


私の勘なんてあてにならないし、テストでだって、二択を外すなんて良くあるから。


だけど、昨日からの違和感が、なんとなくわかったような気がする。


「何が変なんだよ?あ、原田の横分けが今日は左右逆に……」


と、本気か冗談かわからないような事を、指差して途中まで言った時だった。











「ハァ……ハァ……追い付いたわ」









息を切らせて、階段を駆け上がって来た影宮さんが、私と京介の背中に手を当ててそう呟いたのだ。


「か、影宮さん!?」


真弥ちゃんを失って、悲しみで何も出来なくなっていたと思っていた。


私が行くと言っても動かなかったし、私と京介だけで探すしかないと。


「あの……さっきはごめんなさい。友達が殺されて悲しくて……でも、もう取り乱したりしないわ」


そう言って俯いた後、小さく「桐山さんまで失いたくないもの」という声が聞こえた。


「あ、ありがとう影宮さん。でも、二人ともちょっと隠れて」


不思議そうに首を傾げた影宮さんと京介の手を取り、私は一番近くにあった教室の中に入った。