先生達とは逆方向に、二人で走って階段を駆け上がる。


踊り場には例の鏡。


チラリと見て、欠けていないか確認はするけど、ここは昨日調べたからあるはずがない。


「でもよ、マジか須藤の野郎。皆川が死んだのを、山本のせいにするなんてよ」


「うん……真弥ちゃんはやってないって言ってたからそれを信じたいよ。須藤君は……怒りのやり場がなくて、真弥ちゃんに向けたのかな」


京介が来るまでに起こった事を話しながら、美術準備室に向かう。


足を庇いながらでも、私と同じくらいの速度で走れるなんてなんだか悔しい。


そして、やって来た三階。


この一番奥にの美術準備室に、欠けた鏡があると信じたい。


そう願って飛び出した廊下。


そんな私の目に飛び込んで来たのは……廊下を歩いている原田先生の後ろ姿だった。


「お?原田じゃねえか。あ!準備室のガラスを割った事を知られたらまずいかな……」


ボソボソと、私にしか聞こえないくらい小さな声で呟いて、頭をボリボリと掻く京介。











……何だろう。


また違和感がある。


何かおかしいと、今はっきりと感じる。


昨日も感じたけど、答えが出せなかった違和感を。