「大丈夫だ。俺がいるからよ。さっさと終わらせようぜ。な?」


ポンポンと頭を叩いて、不安などなさそうな笑顔を私に向ける。


昨日、怪我までしたのに……真弥ちゃんと須藤君が死んで、次は私か京介のどちらかが死ぬかもしれないのに。


楽観的とも思えるその言動は、普段なら怒るけど……なぜか今は安心出来る。


「うん……今から美術準備室に行くから……」


と、私が京介にそこまで行った時だった。












「なんでまた生徒が!この学校は呪われてるのか!?」


「どうしてこんな時に登校してるんですか!?」











廊下の奥から、バタバタと慌ただしい足音を立てて、先生達が走って来る。


京介が慌てて私を庇うようにして、廊下の脇に移動させた。


「お、お前達!今日はもう帰りなさい!良いな、すぐに帰るんだ!」


立ち止まりもせずに、私達にそう言って、先生達は走り去って行った。


二人が死んだ事を、生徒の誰かが伝えに行ったのだろう。


「美術準備室に行こう。あの鏡の中に、欠けた鏡があるかもしれないから」


飽くまでも可能性だけど、夢の中の鏡は、階段にあった物と同じだったから、そうとしか思えなくなっていた。