階段から突き落とされたショックで、何が何だかわからず鏡を見てしまったのだろう。


鏡の中の何かが大きくガラス片を振りかぶり、勢いよく屈んだのだ。


「ま、真弥ちゃん!!逃げ……」


手を伸ばした私の目の前で……。



















ゴツッと頭部が床に打ち付けられる音が聞こえて……。


真弥ちゃんの頭部から、血が流れ出したのだ。















届かなかった……私の手も、声も思いも。


真弥ちゃんは何もしてないのに……それなのに!


「お前みたいなクズは死ねば良いんだよ!!死んで理沙に詫びろ!!」


須藤君が吐き捨てたその言葉に、私は振り返って拳を握り締めた。


「真弥ちゃんが……真弥ちゃんが何を……!」


湧き上がった悲しみと怒り。


どうしようもない怒りと悲しみをぶつけようとしたその時だった。









ドンッ!!








と、須藤君に身体を預けるように体当たりをした影宮さんが、素早く胸ポケットから鏡を取り出して、それを須藤君の顔に突き付けたのだ。


「見なさい!!これは真弥ちゃんが昨日一日持っていた鏡よ!!どこに数字が書いてあるの!!」