京介は喧嘩が強いわけじゃないから、頼りになるとは言い難いけど、それでもきっと私達を守ろうとする。


そのせいで昨日怪我をしたわけだし、今日はそんな事にならないように気をつけなければ。


男子が一人、いてくれるだけでも心強いという事に変わりはないんだから。


「そう言えば気付いたかしら?昨日の夢に出て来た鏡なんだけど」


自習室を出て、廊下を歩いていると、影宮さんが不気味な笑みを私達に向けて呟いた。


「ああ、うん。大きな鏡だったねー。あれだけの鏡ってなると……やっぱり踊り場の鏡なのかなあ?」


真弥ちゃんも、私達と全く同じ夢を見ている。


今日、登校して来た人達も、きっと同じ夢を見て、欠けた鏡を探さなければならないと感じているのだろう。


そうでなければ、人があんなに殺された学校に来ようと思うはずがないから。


「私はそうだと思ってる。自習室に来る前に、踊り場で確認したもの。真弥ちゃんも桐山さんも確認してみて。ほら、あの枠が……」


廊下を歩いて、階段に差し掛かり、影宮さんが踊り場の壁に埋め込まれている鏡を指差そうと手を伸ばした先に……。









怒りに満ちた表情の須藤君がいたのだ。