「桐山さん、こっちよ」
廊下で立ち尽くしていた私に、影宮さんの声が聞こえた。
リビングから……。
良くわからない状況に、呆然としていた私は我に返り、慌ててリビングのドアを開けた。
「な、何……これ」
リビングのドアを開けたはずなのに、そこは真っ白な部屋で、部屋の真ん中には一枚の鏡。
そして、それを取り囲むようにクラスメイト達がいて、皆声を出さずに、ただジッと鏡を見詰めていた。
その中に影宮さんと真弥ちゃん、京介の姿もある。
「ね、ねえ、これ何?私達、家にいたはずだよね?」
影宮さんに近付き、そう尋ねてみるけど、何も言葉を発さない。
さっき、私を呼んだのは影宮さんだよね?
不思議には思ったものの、夢の中だし、しかもこれだけ大勢の人がいるから、少し安心する事が出来た。
それにしても……ここはどこで、どうして皆がいるんだろう?
首を傾げて辺りを見回し、目を向けた中央の鏡。
皆がジッと見ているから何だろうと思ったけど……その鏡の右上。
京介が言っていたのと同じくらいの大きさの欠損が、そこにはあったのだ。