ナニかを見た時から、毎日見続けている悪夢。


その結末は、決まって私がガラス片で殺されるというもので、出来れば見たくはないけど……。


とりあえず影宮さんと合流しよう。


夢とはいえ、一人でいるのは怖いから。


暗い部屋の中、影宮さんが抜け出した布団を踏み締め、開いたままになっているドアを見て、私はベッドから起き上がった。


大丈夫、私の家だもん。


怖い事なんてないはずだよ。


本当は怖いけど、近くに影宮さんがいると思うと少しだけ安心出来る。


そんな気持ちで部屋を出た私は……ほんの数メートルの廊下を見て言葉を失った。











「な、何これ……」












美術準備室に置かれていた鏡を、強く怪しいと思い過ぎたせいか、廊下の両側に立てかけられている鏡。


暗いはずなのに、その鏡面ははっきりと見えて……。


そこには、赤い数字が書かれていたのだ。


「こ、これじゃあ私、向こうに行けないじゃない!」


今日、すでにナニかに殺されそうになっている私は、鏡に映るだけでナニかに殺されてしまうのに。


とてもじゃないけど、ここを通るなんて出来なかった。