そんな風に思ってくれてたんだ。


そうとも知らず、私は影宮さんの笑顔が不気味だとか思って、悪かったかな。


だからっていじめようという結論にはならないけど、でも本当に不気味なんだよね。


今も、濡れた髪がダラリと垂れて、その間からギョロリとした目が覗いている。


「ま、まあ、影宮さんが生きてて、私は嬉しいかな。そうじゃなきゃ、こうして話をする事も出来なかったし、私だって殺されてたはずだから。ありがとうね」


「桐山さん……良いものね。と、友達にお礼を言ってもらえるって」


ニタリと、隠し切れない喜びを顔いっぱいに浮かべて、恥ずかしそうに俯く。


鏡の中のナニかに恐怖したけど、影宮さんに助けられ、ホッとさせられた。


「何言ってるの。影宮さんは命の恩人なんだから、お礼を言うのは当たり前でしょ?」


「そ、そう?あ、そ、それよりも、何か思い出した事はないかしら?私もシャワーを浴びながら考えたけど、あまり考えがまとまらなくて」


照れてしまって、慌てて別の話題にしようと必死になっている。


なんだか、いつもと違って可愛く見えるよ。


「私が思ったのは、どうして取り外した鏡を、わざわざ怪談話の場所に片付けたのかなって事なんだけど……」