不思議に思う事は他にもある。


階段の踊り場にある鏡を取り外して、そこに集めたとなると、どうしてわざわざ怪談の場所に?


生徒が消える美術準備室なんて、行ってみようとも思わないから、鏡を置いておくには丁度良いのかもしれないけど。


それにしても、鏡を外して壁を埋めたのに、鏡を処分しなかったのはなぜだろう?


それを考えると、30年前にあったかもしれない欠けた鏡も、美術準備室にあるかもしれない。


「……そうだよ。もしかすると、欠けた鏡があるのは、美術準備室じゃないの?」


安直な考えかもしれない。


だけど、もうそうとしか思えない。


私の中では、それ以外の場所にあるなんて考えられなくなっていた。


そう……結論に達した時だった。













カタッ。











何か……妙な音が聞こえた。


どこからかわからない。


この部屋の中で聞こえたとは思うけど……。











カタッ。


カタカタカタカタカタカタカタカタッ。











その音と共に、激しくテーブルの上の鏡が震え始めたのだ。


瞬間、私の背筋に激しい悪寒が走る。