それから、何事もなく過ごして夕方。


お母さんが帰って来たから、影宮さんを連れてリビングに。


前髪が長くて、不気味な容姿の影宮さんにびっくりしていたけど、泊まる事を伝えて晩御飯を食べ、部屋に戻った。


京介からも連絡があり、傷口を縫う程度で済んだと聞いて一安心。


「床でごめんね。一番厚い布団を敷いたけど、痛かったら言ってね」


部屋の真ん中にあるテーブルを隅に寄せ、そこに敷いた布団を触って影宮さんを見た。


「大丈夫よ。ありがとう」


てっきり、「薄っぺらい布団で背中が痛くなりそうね」とか言うかと思ったけど……意外だ。


「この家のトイレは大丈夫として、問題はお風呂ね。桐山さんはナニかに殺されるかもしれないから、入らない方が良いわ。見て来たけど、間違いなく殺される向きだもの」


「そ、そうだよね……まあ、今日は朝にシャワー浴びたし、何とか大丈夫……かな?」


「ここまで来て、あっさり死なないでほしいわね。ナニかは精神的に疲労するのを待っているような気もするけど」


……そうだよね。


油断していたらすぐに殺される。


注意力が散漫な私が今まだ生きているのは、運が良かったからに過ぎないんだ。