欠けた鏡を……元に戻す?


え、でも、ガラス片はナニかが持っているわけで、一度目を合わせた後にそらすと殺される。


そんな幽霊が、私達に協力なんてしてくれるのかな。


元々はナニかが言い出した事とは言え、危険が0だというわけじゃない。


「欠けた鏡を元に戻して、ナニかが出て来ちゃうって事は……ないよね?そんな事になったら、かなりヤバいんだけど」


「それは笑えないわね。そんな事になったら、一体何人の生徒が犠牲になるかわからないわ」


私の、縁起でもない想像は、影宮さんからの反論もなく受け入れられた。


そんな事はないわって、言ってほしかったけど、最悪の事態を考えているんだろうな。


もしもナニかがこっちの世界に出て来たらなんて……考えたくはない。


「ま、まあ、そんな漫画みたいな出来事あるはず……」


と、自分が言った事なのに慌てて否定しようとした時。


手の中のスマホが、テロリンと音を立てた。


画面には「真弥ちゃん」の文字。


急いでその内容を確認すると……。











『皆川を殺したかったけど……出来なかった。ムカついててもさ、人を殺すなんてそう簡単に出来ないね』













あの時、須藤君と皆川さんが一緒に逃げていたのを見て、内心穏やかではなかったんだろうな。


でも、殺しはしなかった。


なぜか私はホッとして、フフッと笑った。