「数字は……『4』ね。伊達君の後に誰も殺されてなければ、明日まではこのままだと思うけど」


手鏡には赤い「4」の文字。


それは、伊達君に鏡を見せた時に書かれた数字。


あの時は殺されなくて助かったという想いがあったけど、良く考えれば、私と京介を助ける為に人を殺したんだ。


幽霊が殺した……影宮さんが殺したわけじゃない。


そう思いたいけど、その考えは伊達君と同じになってしまう。


自分は手を下していないから、幽霊のせいだから自分は悪くない。


影宮さんはそれをどう思っているのだろう。


「うん?どうしたのかしら?ああ、鏡を向けたらナニかに襲われるかもしれないわね」


私に気付き、隠すようにしてカバンに入れた。


「いや、そうじゃないの……影宮さんは伊達君を殺して、何とも思わなかったの?」


罪の意識を持てと言いたいわけじゃない。


もしも私が影宮さんの立場なら、伊達君を殺したという事実に耐えられないだろうから。


「何とも思わない……なんて言ったら嘘になるわね。だけど、そうしなければ、桐山さんと紫藤君が殺されていたかもしれないでしょ。そんなのは耐えられないわ」