「……えっと、影宮さん?泥棒が入ったようには見えないんだけど」


私のその言葉に、逆に驚いたような表情を見せた影宮さん。


「そ、そうなの?てっきり私は台風でも去った後かと……ごめんなさい、言い過ぎたわ」


ここ数日で、影宮さんは何でもはっきり言うとわかったけど……さすがにそれは、本当に言い過ぎだよ。


軽くへこみながら、影宮さんを部屋に入れて、散らかった床の本を隅に追いやる。


「で、でも、真弥ちゃんの部屋よりも綺麗なんだからね。これでもまだ……ね」


ごめん、真弥ちゃん。


この部屋と比べちゃったよ。


「この部屋より汚いとか……もう人間が住める環境じゃないわね。それはそうと……その真弥ちゃんはどうしたかしら?あれから連絡はあった?」


心配そうに床を見て、かがんでカーペットに手を置いて確認する。


いやいや、散らかってはいるけど、掃除はキチンとしてるから大丈夫だよ。


前に掃除をしたのは四日前だし。


「連絡はないね。あの後どこに行ったんだろ。下手な事をして、死んではいないと思うけど……」


そう私が言うと、思い出したかのように影宮さんは、カバンから鏡を取り出した。