……顔に血が付着している私が映っているだけ。
ナニかではなかったけど、改めてその姿を見ると少し怖い。
普段見慣れない姿が映るのがこんなに不気味だなんて。
「……早く入ろう」
ブルッと、小さく身震いをして制服を脱ぎ始めた。
今頃、影宮さんはどうしているんだろう。
影宮さんは、咲良が死んだ時にナニかに気付かれたかもしれないけど、私はまだ気付かれてはいないと思う。
確かにそれを見たけど……ナニかは咲良の遺体を見ていたから。
制服を脱ぎ、洗濯カゴに入れた私は、フウっと溜め息を吐いて風呂のドアを開けようと振り返った。
え?
ドアノブを掴む手が震える。
振り返ったその時に……視界に入ってしまった鏡。
その中に、私じゃない誰かがいたように思えたから。
大丈夫だと言い聞かせていた私に襲い掛かる激しい悪寒。
何がそこに映っているのか気になる。
その姿を確認して、見間違いだったと安心したい。
だけど……もしもそれが、私を追って来たナニかだったら。
時間にしてほんの一瞬。
覚悟を決めた私は……。