私と影宮さんは、一階に下りてまだ調べていない棟に入った。


ここに欠けた鏡がなければ……もうどうすれば良いかわからない。


そうなりませんようにと祈りながら調べたけど……結局そんなものは見付からなくて。


「……なかったね、欠けた鏡。やっぱり30年も前だから、欠けた鏡なんて取り外されたのかなあ」


「もしもそうだとしたら、手の打ちようがないわね。ナニかはそれを知らなくて、ずっと欠けた鏡を求めている……幽霊の世界なんて知らないけれど、ありえない話ではないと思うわ」


そうであってほしくはないけど、万が一そうだとした場合、私はどんな顔をして京介に会えば良いだろう。


もう存在しない物を求めて、学校に残ったばかりに怪我をした京介に、何て言えば良いだろう。


何にも関わらずに、学校に来ずに、家で怯えていれば、少なくとも怪我なんてしなかったはずなのに。


「鏡が見付かっても、それをどうするかわからないよね。その前に数字が『0』になっちゃうかもしれないし」


それが怖い。


たとえ鏡を見付けたとして、数字が『0』になったとして、そうなった時の情報というものが何もないのが、さらに私に焦りを生じさせていた。