京介はとても動けるような状態じゃない。


原田先生に任せて、私と影宮さんは反対側の階段に移動し、まだ調べていない鏡を調べる事にした。


「……紫藤君が鏡を見て?欠けた鏡を探せって、幽霊に言われたのね」


「うん。だからきっと、ナニかがそれを求めているんだと思う」


移動しながら、京介が鏡の中のナニかから目をそらさず、ジッと見続けた事、ナニかから告げられた事を影宮さんに伝えた。


特に驚いた様子もなく、想定内だといった表情で。


「ナニかに殺されないように、欠けた鏡を探していたのに、それの発信源がまさかナニかだったとはね。私達は、結局良いように踊らされているだけかもしれないわね」


「つまり……私達は、ナニかの為に欠けた鏡を探してるって事かな」


「そうとも言えるし、そうじゃないかもしれないわ。どちらにしても、私達に残された手は欠けた鏡を探す事しかないわね。数字が『0』になるまで、時間がないもの」


うん、その通りだ。


どんなに頑張っても、それ以外の方法が思い付かない。


たとえ、それが良い結果になろうと、悪い結果になろうと、やるしかないんだよね。


何もしないという選択肢は……ここまで来たらないかな。