死亡した伊達君。


影宮さんと一緒にいた原田先生が、その凄惨な現場を目の当たりにして、青ざめた顔で立っていた。


だけど、そこは30年前にも惨劇を経験した原田先生。


怪我で苦しむ京介を見て、ハッと我に返り、首をブンブンと横に振った。


「だ、大丈夫か紫藤!!と、とりあえず止血をしないと」


「大丈夫なわけねえだろ……めちゃくちゃいてぇ!!」


襟元を飾るネクタイを解き、慌てた様子で京介の太腿を縛る。


「……伊達君も樹森君も同じね。人を殺そうとして、自分が殺されるなんて考えてもいなかった」


私達はどうなのかな。


殺されたくない為に必死になってるけど、人を殺す事は考えていない。


直接私達が命を奪ったわけではないけれど、それでも人が死ぬのを見て、「良かった」なんて思えないよ。


「それで、こっちには……その様子だと、欠けた鏡は見当たらなったようね」


私達はトイレでの出来事で時間を取られていたから、影宮さんと先生のペアよりも調べられなかった。


当然その中に欠けた鏡なんてなくて、さらには影宮さんが来てくれなかったら、こうして話をする事すら出来なかったかもしれないから。