「僕の……勝ちだ!死ね!紫藤京介!!」


鏡がゆっくりと上げられる。


京介は足を押さえていて、逃げる事も叶わない。


危ないと感じた私は、すぐさま階段を駆け上がったけど……伊達君の手の鏡を叩き落とすのは間に合わない。







ダメ……京介に鏡を向けないで!








私を守ってくれた京介を……殺さないで!








今の私が出来る最善の行動。


いや、それが良いのかは、正直わからない。


ただ、京介が死ぬかもしれないと思ったら、動かずにはいられなかった。


倒れている京介に覆いかぶさるようにして、ギュッと抱きしめて伊達君を見る。


鏡面が向けられた。









その中に……ナニかが映る。


私と京介の背後に立ち、ガラス片を振りかざした姿を見て……祈るように目を閉じた。









もうダメだ。









死のイメージに支配されて、その時が来るのを覚悟していたけど……。










私と京介に、その時は訪れなかった。


不思議に思い、片目をゆっくりと開けて見ると……。











「遅いと思って来てみたら……危なかったわね」







影宮さんが、伊達君が向けた鏡を反射させるように、その前に鏡を差し込んでいたのだ。